ルーブル美術館で現在開催中の『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』に、ようやく行ってきました。
「ようやく」っていうのは、あまりの人気でなかなかチケットが取れなかったから。
去年の11月中旬くらいに『来月にはいけるかな』なーんて思って予約サイトに行ってみたらびっくり。2ヶ月弱先まで予約が出来なかったんです。
ダヴィンチの集客力をなめていました…。2020年1月10日現在で、すでにチケットは完売。
『行きたかった!』という方もいるかと思いますので、自分用の記録もかねて、ダヴィンチ展の様子をご紹介します。
没後500年を記念した特別展
2019年10月からルーブル美術館で開催中の『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』は、彼の没後500年を記念して開かれています。
開催期間は2020年2月24日まで。
今回の特別展では、ルーブル美術館が所蔵している作品だけではなく、世界中にあるダヴィンチの作品が各国の美術館の協力のもと、ルーブルに集まっています。
ここにくればダヴィンチ作品の3分の2を一度で堪能することが可能。すごい。
そして今回は彼の作品だけではなく、天才の脳内が詳細に記された「手帳」や、「デッサン」も合わせて見ることができ、その数160作品にのぼります。
こんなにもたくさんのダヴィンチの作品が一同に集まるのは世界初のこと。
次にこんな機会がいつあるかしら…(100年後!?)なんて考えたら、絶対に今回足を運んでおきたいとファンならずとも思うはず。チケットがすぐ完売するのも頷けます。
『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』レポ
私が行ったのは2020年1月9日。この日はパリで大規模デモが行われていましたが、さすがは世界一の美術館。そんなことはどこ吹く風で相変わらずたくさんの人で賑わっていました。
音声ガイドとガイドブック
音声ガイドは5ユーロで借りることが出来ますが、英語とフランス語のみのため、私たちは借りませんでした。
その代わりに、全作品の解説が書かれている無料ガイドブックが置いてあったため、こちらを片手に回ることに。
ガイドブックは赤が英語で、青がフランス語。帰り道に雨にあたってしまい、家につく頃にはボロボロになってしまいましたが、美術館に置いてあるものはピカピカの新品です。
世界各国の美術館から貸し出しされた作品
こうした特別展は何がありがたいかって、世界各地に分散している作品が一同に集結してくれること。
今回もイギリスやイタリアなどから貸し出された作品とルーブル所蔵のものを一度にお目にかかることができました。贅沢の極み。
ブノワの聖母
ロシアのサンクトペテルブルクにある『エルミタージュ美術館』に所蔵されているもの。ダヴィンチの初期の作品です。
この作品は長年、偽物疑惑がありました。が、最近になって大英博物館でダヴィンチが描いたこの絵の素描が発見され、本物認定されたという経緯があります。
他の作品にも言えることなんですが、特別展では驚くほど近くで見られるので、ダヴィンチの線を持たない柔らかな筆使いをしっかり見ることができました。
聖ヒエロニムス
こちらの作品は普段、バチカン市国の『バチカン美術館』で展示されています。
実は去年の夏にバチカン美術館に行った際、この作品をすっ飛ばして見学してしまったため、ここで見られてラッキー!
ダヴィンチの未完作品の一つで、19世紀に発見された際には、なんと靴屋の足乗せ台として使われていたんだとか。たしかにこの絵をパッとみた感じ、「ダヴィンチ感」はあまりないけれど、気づいてもらえてよかったね。
音楽家の肖像
イタリア・ミラノの『アンブロジアーナ図書館』が所蔵している作品。
現存しているダヴィンチの油彩画はとても少ないのに加えて、男性の肖像画はこれのみという貴重な一枚です。
ダヴィンチが解剖学を学んだ30代頃の作品で、骨格や髪の毛一本に至るまで緻密に描かれています。
2枚の『糸車の聖母』
同じ構図で描かれた2枚の絵。未だにどちらをダヴィンチが描いたのか物議を醸している作品です。
上の絵画(別名:バクルーの聖母)はスコットランドの『スコットランド国立美術館』で展示されている『糸車の聖母』で、下のほう(別名:ランズダウンの聖母)は個人所有のため、普段は非公開。かなり貴重!
先日放送されたNHKスペシャルでは、ランズダウンの聖母がダヴィンチによって描かれたのでは…なんて言っていましたが、真相はわかりません。
ただ疑惑の2枚を並べてみることが出来て、さすがは特別展だなと感動しました。
ほつれ髪の女
イタリアの『パルマ国立美術館』に所蔵されている作品。絵の女性があまりに美人でつい見とれてしまいました。
ダヴィンチは正確に描くことにこだわった画家と言われていますが、こんな美しい人がいたんですね。眼福。
聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ
普段はイギリス・ロンドンの『ナショナルギャラリー』に展示されているもの。私も3年ぶりの再会となりました。
木炭と白黒チョークで描かれたこの作品は、絵画ではなくデッサンでは?とも言われています。が、一方でデッサンにしてはサイズが大きいこと、これを元にした油絵が発見されていないことから、その真相は不明です。
書いてて思ったのですが、ダヴィンチの作品を語る上で『真相は不明です。』の一言がどうしてもセットになってしまいます。
謎多いゆえにみんなが惹かれるのかもしれないけれど、書いててあまりスッキリしない。笑
ミラノ貴婦人の肖像
こちらはルーブル美術館所蔵の作品なのですが、ここ最近はアブダビのルーブル美術館の分館で展示されていたので、ようやく見られました。
これを見たかっただよ…!!!
特別展が終わったあとも、このままパリに残ってくれることを心から祈っています。
今回のダヴィンチ展のパンフレットや広告にも使われており、いわば特別展の顔です。
ダヴィンチのデッサン
特別展では、数多くのデッサンも見ることができます。
一見さらりと描かれたように見えるのですが、当然のことながらうますぎる。
近くでよくみると、消したと思われる絵がうっすらと残っていたり、違う書き方をその上から重ねていたり、よくわからないいたずら書き(?)があったりして、デッサンすらも面白い。
今にも動き出しそうな手ですが、よくみると左上によくわからないおっさんの横顔が描かれています。
ダヴィンチの脳内が描かれた「手帳」
絵画やデッサンだけでも、彼の才能が恐ろしいほど伝わってきますが、ダヴィンチの手帳やノートをみて、その天才ぶりにお腹いっぱいになりました。
書かれている内容も、凡人には理解できないようなものだろうし、そもそも鏡文字っていうのにもある種の狂気を感じます…。
天才になるとメモすらも金になるのか、なんてゲスなことを思っていたのですが、メモやノートの域をはるかに超えた「作品」でした。
正確な絵画を書くために、解剖学にも明るかったのは有名な話。
私も含めて、ふむふむと一生懸命にダヴィンチの手帳を見てはいるものの、この中で理解している人はきっと皆無だと思う。
今回は残念ながら、有名な『ウィトルウィウス的人体図』を見ることはできなかったのですが(壊れやすいという理由から12月頭までの限定公開だったらしい)、見どころ溢れる大満足の特別展でした。
『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』は2020年2月24日までの開催ですが、ルーブル美術館では『モナリザ』や『岩窟の聖母』『ヨハネの洗礼者』など5点の作品を常設展示しています。
ぜひパリ旅行の際にはルーブル美術館にも足を運んで見てくださいね。