3月17日に外出禁止令が政府から発表され、そろそろ1ヶ月が経とうとしています。
いわゆる【ロックダウン】の状態。
生活に直結する影響は以下の通りです。
- 基本的には外出は禁止されている
- 買い物や仕事等、やむを得ない場合は外出証明書を携帯する
- 必要最低限の店舗以外は全て閉店
- 学校は全て休校
- 欧州内移動は本国帰国のための経由以外禁止
自由が当たり前に広がっていた世界が一転、この1ヶ月で青空の下で外の空気を吸うことすらも難しい日常が訪れました。
今回は、パリで実際に経験したこの1ヶ月の【ロックダウン生活】を記録します。
※我が家は日本人夫と夫婦二人暮らしです。
マスクの普及
欧米ではマスクは病人が使用するものであり、日本のような予防的意味を持っていませんでした。
ですからコロナが流行し始めた当初、アジア人である私たちが予防のためにマスクをしていると、欧米人から誤解を受け、差別や乱暴に繋がるのではないかとビクビクしていたものです。
しかし外出禁止令が発表された頃から、街中でマスクを使用するフランス人の姿を目にするようになり、スーパーの店員さんはほぼみなさんがマスクを使用しています。
フランス国内でもマスク不足は同様に起こっているため、各種メディアがマスクの作り方を紹介するようになりました。
病人のマスクから予防のマスクへ。頑なにマスクを拒否していた欧米人が日常にマスクを取り入れた、ある意味歴史的瞬間に立ち会った気分です。
ちなみに我が家のマスク事情ですが、以前両親が渡仏した際に花粉症対策で持ってきてもらったものが2箱あるので、それでしのぐことができています。
買い物
外出証明書を携帯すれば、近隣のスーパーへの買い物は許可されています。距離の制限はありませんが、外出証明書には住所の記載欄もあることから、よほどの理由がない限りは最寄りのスーパーの利用がベターのように思います。
スーパーの様子
外出禁止令の発表の前後はフランスでも買い占め現象が発生し、パスタや小麦粉、水やトイレットペーパーなどが棚から姿を消しました。
4月11日現在、私が住むパリ6区のスーパーでは買い占め現象は収まり、生活必需品は手に入る状況です。
モノプリでは入場制限が行われてるため、連日店の前には列が出来ています。ここには毎日足を運んでいましたが、最近は週1の頻度になりました。13時から14時頃に行くと、だいたい20分強並びます。
列を作る際も前後1メートル以上間隔をあけるために、下にはマスキングテープが貼られています。
入場するとマスクをしたドアマンが消毒ジェルを1プッシュ手の上に乗せてくれます。
無人レジも人との距離が近くならないように、1つ置きで使用することになりました。
一方、カルフールエクスプレスは入場制限はなく、行列もありませんので割とスムーズに買い物が出来ます。モノプリほど品揃えが豊富というわけでもないし、少々割高な一面もありますが、時間の節約になるので、最近ではもっぱらこちらを利用しています。
有人レジ前は分厚いラップで仕切られ、店員さんもマスクと手袋を着用。人によっては、レジを利用するごとに、消毒スプレーを散布してくれます。
こちらでは最近まではトイレットペーパーなどの紙類が品切れ状態でしたが、現在は少しずつ入荷しているようで、棚の隙間が減ってきました。
しかしモノプリ、カルフールエクスプレスどちらも、小麦粉が未だに完売しています。これは自宅でパンを作ったり、お菓子を作るためではないかと言われています。
帰宅後
購入したものはすぐに冷蔵庫などには収納せず、除菌シートで入念に拭いてから入れています。
これは両親がフランスに来た際に、こちらではなかなか買えないからと12袋どーんと持って来てくれたのですが、かなりのハイペースで消費しています。
もし日本でこの状況を迎えていたら、以前から愛用していたドーバーパストリーゼでシュッシュしまくりだっだでしょう。
これは食品にも使える消毒スプレー。名前は洋風ですが、純日本製のためフランスでは販売されていません。ただ現在の価格を見てみると、コロナの影響で法外的な価格になっているのが非常に残念です。
食事
食卓にはパリっとしたフレッシュな葉物野菜を出すことが出来ておらず、お昼はもっぱらパンがメイン。
本来であれば、こんなときこそ食べ慣れた日本食で胃も心も満たしたいところなのですが、3月下旬より在仏日本人行きつけの京子食品が休業しています。
わざわざバスにのって韓国系スーパーに行くのも、今の状況では好ましくないと判断しました。
よって我が家は、日本食および調味料を買い足すことが出来ず、日々減少するのみ。大好きな納豆も冷凍庫にはあと1パック。お昼ご飯によく食べていた冷凍うどんもあとわずか…。
みりんや日本酒、めんつゆもみるみる減っていくため、ロックダウン前に買い足しをしなかった己が憎くて仕方がありません。
ただ、味噌と醤油、インスタント味噌汁はフランス系スーパーでも購入できます。
運動
外出禁止令が発表された当初は、自宅周辺に限り屋内での運動が認められていました。
しかし、4月に入り天気がよくなると、驚くほどの人々が運動を理由に外出を始めてしまい、とうとう10時から19時の間の屋外運動が禁止に…。
家の中にいると、正直お腹が減っていなくても何か食べてしまうという恐ろしい習慣が身についてしまっています。
フランスでは家のベランダを6時間かけてフルマラソンしたという人がいましたが、我が家でも家の中を30分ウォーキングしています。
ラジオ体操もなかなか気持ちがいいです。
それと最近、顔の丸みがより増してきたので、日本から持ってきたパオという小顔アイテムを1日1分振り回しています。
仕事・語学学校
夫も当面は在宅での勤務になりました。スカイプやZOOM等を活用して、インターネット会議をしています。
私の通っているパリ市市民講座のフランス語クラスも、休校が決定してからはZOOMを使ったオンライン授業に切り替わりました。
ただ、家庭によってはパソコンが無い、もしくは1台を家族で共有しているといった事情などから、全員の参加は難しくなっているようです。
通学する時間や交通費が減ったことは喜ばしいですが、オンラインになると以前にも増して発言する機会が減り、2時間ただただリスニング状態なのも事実です。
またフランス国内ではオンライン授業への切り替わり後から最大で96万人の子どもと連絡が取れなくなっているというニュースも目にしました。
娯楽
引きこもり生活での娯楽の1つは読書です。
もちろん本屋に行けないため、もっぱら電子書籍をKindle Unlimitedで読みあさっています。
5月末まで地球の歩き方などのガイドブックも読み放題になっているため、旅行気分を味わうのもおすすめです。
私はもっぱら歴史系小説や書籍を読んでおり、これまで興味のなかった幕末に詳しくなってきました。外出禁止令の思わぬ産物です。帰国しコロナが落ち着いたら、絶対に松戸市戸定歴史館に行く!
また、クレヨンしんちゃんが一部読み放題なのも嬉しくて、過去に何度読んだかわかりませんが、懐かしんで再読しています。
外出証明書と警察官
買い物のたびに外出証明書を携帯していても、なかなか警察官に遭遇しないな〜なんて思っていたのですが、4月6日に初めて警察官に声をかけられました。
場所はレンヌ通り。大きな馬に乗った女性警察官が馬上から声をかけて来て、その場で外出証明書を提示。ちょうどその日からスマートフォンでの携帯が可能になったので、スマホを手渡しました。
外出理由が買い物だったため、必要なものの買い物であるかどうかを確認するためにと、レシートも合わせて提出。
身分証明書も要求されるかもしれないと思い、パスポートも一緒に携帯していたのですが、こちらは必要ありませんでした。
20時の拍手
ロックダウン生活が始まってから、毎日20時になると窓を開けて拍手する習慣がヨーロッパではうまれました。
これは医療関係者や物流関係者など、この状況下でも必死に働いてくださっている人へ感謝の気持ちを表すためです。
しかしこれは住んでいる場所や通りによってかなり差があるのか、残念ながら私の近所では20時になっても拍手の音は聞こえません…!
先が見えないロックダウン生活
現時点では4月15日にロックダウンが解除になる予定ですが、現状をみるとまだまだ続くだろうというのが世論の予想です。
なにせ初めての経験のため、今はまだ困ったことや大変なこと、退屈なことなどに対して不満をいう余裕がありますが、これが何ヶ月も続くと気力を無くし、自由だった以前の生活すらも記憶が霞むのではないか、ふと不安にもなります。
フランスは12月には大規模ストライキがあり、自由に行動できない期間が長らくありました。そこから合わせると、何も考えずに自由に出かけていた日はすでに遠い過去にすらなっています。
「移動するのは菌ではなく人」だという自覚を一人一人が強くもち、終息に向けて命を守る行動をとってほしいとただただ願っています。
この機会に読んで見たい一冊。ただあまりに長そうなので、電子書籍で読むには心が折れるのではないかと思い、なかなか踏み出せずにいます…!
これなら手軽に読めるかな。