人生初のイタリア旅行に浮かれていた私のテンションを突如ズドーンと落としたのは、ミサンガ詐欺ってやつです。
イタリアの観光地で横行されているこのぼったくり詐欺を、みなさんはご存知ですか?
『イタリア ミサンガ』って検索すると、真っ先に登場するのがこのミサンガ詐欺ってくらい有名な手口らしいのですが、お恥ずかしいことに私は全く知らず、まんまとミサンガ売りにのせられ怖い思いをしました…。
イタリア旅行記の1記事目が『詐欺ネタ』なんて、なんとも切ない話です。
ただ、この記事を読んだことで1人でも詐欺から身を守れるために、そして自分への戒めのために、私が実際に経験したミサンガ詐欺の手口とその対策について書き綴っていきます。
『ミサンガ詐欺』ってなに?
観光客の腕にミサンガを勝手に巻きつけた挙句、その料金をぼったくり価格で請求してくる手口のこと。
俗にそのような手口をしてくる連中を『ミサンガ売り』といいます。
イタリアでは日本人は引っかかり安いと思われているのか、カタコトの日本語で近づいてくる「ロマ」が結構います。
『コンニチハ〜』
『ナガトモ〜』(ミサンガ詐欺は別名『長友詐欺』と呼ばれるほど長友選手の名前は頻繁に使われるらしい)
などと、さすがはラテンの国と思うほどに超陽気で近づいてくるのがこの連中。
『手品を見せてあげる』
『あなたにミサンガをプレゼントしたい』
などと言って、めちゃめちゃフレンドリーなトークと雰囲気の中、観光客の腕にミサンガを巻きつけてくるんです。
そして、ミサンガを巻き終えた途端、急に表情が変わり
『25ユーロ、払え』とミサンガ代を請求。
『タダだと言ったじゃないか!』なんて言葉は奴らには通じません。
近くにいる仲間を呼び、半ば恐喝のような形でしつこく支払いを要求してきます。
ラテン系の男性に囲まれるなんて、日本人からしたら恐怖ですよね。
泣く泣く金額を支払ったという経験談はネット上でもかなりの数がヒットします。
調べてみると、恐喝金額の平均は25ユーロのよう。
まさにこれと全く同じ経験を、イタリア観光初日に私はしてしまいました…!
詐欺の場所はコロッセオ周辺
2019年7月8日の12時半ごろ、私たち夫婦はコロッセオ観光を終え、すぐ近くにあるフォロ・ロマーノとパラティーノの丘へ向かっていました。
するとちょっと小柄な陽気なおっちゃんが
『コンニチハ〜!日本語少し話せるよ!トウキョウ?オオサカ?』と話しかけてきたんです。
私たちも『日本語上手ですね〜』なんて言葉を返したら、『ナゴヤ、フクオカ…』などと知ってる単語をベラベラとおっちゃんは続けます。
調子のいいこのおっちゃん、今度は『手品見せてあげる〜!』としきりに私たちの指やら腕やらを要求。
夫が『結構です』と振り払うと、その場はことなきをえました。
事件はこのあと起こります。
コロッセオとフォロ・ロマーノの間には、『コンスタンティヌスの凱旋門』という見事なローマ建築があります。
これを写真に撮っていた私に、またもやあのおっちゃんがやってきました。
『手品みてよ!君にはタダで見せてあげるから!ほら、腕出して!』
あまりにもフレンドリーなおっちゃんの口調に、警戒心をゆるめてしまい、とうとう私は右手をおっちゃんに差し出しました。
『暑いね〜』という日本語から始まり
『どのくらいローマにいるの?』
『ローマのあとはどこか行くの?』
『今度ローマに来るときには可愛いベイビーを連れてきてね』
なんていう、なんとも微笑ましい会話をしながら、緑・白・赤というイタリア国旗色の3色の紐が見事な手さばきでミサンガとして巻かれていきます。
白と赤の糸をねじ上げ、『日本の色だね〜!!』と言ってみるみるうちにミサンガは完成。
私はこのとき、本当に何もわかっておらず、実は縛っていたミサンガがポーンとはずれ、『見事な手品でしょう!!』という展開になるんじゃないかと本気で思っていました。
振り返ったら大馬鹿ものですね…。
でもね、詐欺に合っているかもなんて思いながら詐欺に合う人間なんていないんですよ…。
するとおっちゃん、少し遠くにいた夫にも同じミサンガをプレゼントしたいと言ってきました。
私はすっかりおっちゃんを信じ、夫を呼び寄せることに。
夫はしきりに『いや、いいから…』と言っていたのですが、『そんなこと言わないで、やってもらいなよ〜』と、夫の腕をおっちゃんに引き渡しました。(本当に自分アホ)
フレンドリーな雰囲気の中、夫のミサンガも完成。
と同時にいきなり、仲間と思われるラテン系の男性が爪切りをもってこっちにやってきました。
そして『25ユーロを払え。』と請求するではありませんか。
え???????
おっちゃんのほうを見て、『あなたタダって言ったよね!?!?』と話しかけても後の祭り。
さっきまでの陽気なおっちゃんは、ギャングのような目を私にむけて『は?払えよ!』とお金を要求してきます。
いやいやいやいやいやいやいやいや。なにこれ。
もう私の頭の中は大混乱。
一体これはなんの話?
まさか怖い事件に巻き込まれるの?
『警察に行こう』の言葉の力
混乱して思考停止している私をよそに、夫がそのラテン系の男2人に『警察へ行こう』と言いながら、途中合流した仲間の腕をつかんだんです。
すると、この『警察』という言葉がきいたのでしょうか。
ギャング化したおっちゃんは『F○CK THE POLICE!!!!』と3回くらい連呼しながら、手元の爪切りで私たちのミサンガをパチンと切りました。
そして『もう消えろ!!』のような言葉を言いながら、手を払い、私たちをその場から追い出そうとしたため、私たちもその場所をあとにしました。
『警察へ行こう』の一言が効果的だったのかはわかりませんが、とにもかくにも25ユーロの支払いから逃れることができて、本当によかった…。
ミサンガ詐欺に合わないための対策
対策はいたって簡単です。
知らない人に話しかけられても、対応しないこと。
特に、軽々しく日本語で話しかけて来る連中は100%怪しいと疑った方が身のためです。
あれだけ日本語が話せるということは、確実に日本人観光客を狙っています。
万が一、奴らに対応してしまった場合でも、簡単にお金を払う姿勢をみせないようにしましょう。
観光地には周りに人がたくさんいます。大きな声を出して、助けを求めるのもいいかもしれません。
《ミサンガ詐欺》まとめ
腕にうっすらと赤く残る、ミサンガの跡…。
スリやロマが多いパリで生活しているときには、常に警戒心を持って街を歩いているにも関わらず、バカンスで浮かれたばかりに、怖い思いをしてしまいました。
夫からも『気を緩めすぎ』とお叱りを受けました。その通りです。
ホテルに戻ってから、『イタリア ミサンガ』で検索をすると、まぁ驚くほどの被害経験のブログが出てくる出てくる。
しかも手口はほとんど私のものと同じ。
つまり旅行前にしっかりと情報を調べておけば、防げるぼったくり詐欺だったわけです。
ファロ・ロマーノの見学後に再びその場所を歩いてみたところ、いたるところに同じようなミサンガが落ちていました。
旅行中はつい気持ちが高まり、浮かれがちになってしまいますが、
- 旅行前には旅先で気をつけることを確認する
- 急に軽々しく話しかけて来る人には対応しない
- 金銭を要求されても、簡単にお金を出そうとしない
楽しく旅行をするためにも、周りを信用せずに観光することを誓いました。
その場で突然あった人間に、何にも見返りを求めずに親切にできる人なんて、考えたら聖人君主ですよね…涙。