昨日はひょんなことから夫と議論→喧嘩に発展。
議論のきっかけは「継体天皇の朝鮮説に対しての報道のあり方」という、決して私たちがパリの食卓で語らったからといって世界は何も変わらない、極めてどうでもいい議論だったりする。
ともに歴史が好きなことや、先日とある番組を観てお互いが感想を持ったことから、そのような議論をすることに。
初めは普通に話していた気もするのだが、食い違う意見がどんどん横に逸れていって、最終的に私は号泣していた。
また夫からは、議論の場において感情をぶつけられても困るとも言われた。
うちの夫は極めて冷静で、私が「正論マン」と褒め言葉にもならない異名を与えるほど、感情ではなく理論で、そしてリベラルに話を詰める。
一方の私は、当初は自分の考えを持っていたはずなのだが、どんどん反論される立場に苛立ちを隠せなくなり感情論を発動。そして最後は矛盾をいろいろと突かれ「もう話したくない。」で強制終了させようとする。
よくこんな私と12年も一緒にいてくれるなと思いながら、これまでは寝て起きたらすっかり忘れていた一連の出来事も、今日はどうも心のモヤモヤが払拭されない。
そこでKindle Unlimitedにあったこちらの本を手に取ってみた。(2020.5月現在)
この本は、議論の基本や方法論を解説してくれている本だが、今回私はどうして自分は感情的に議論をしてしまうのか…という理由を見つけられたことが、読書の大きな収穫となった。
目次
『「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いなのか』とは
とても印象的なタイトルだが、自己弁護としていいたい。私は過去に「仕事と私系」の質問をしたことはない…!笑
この本の著者、谷原誠さんは現役の弁護士の方。
弁護士とは議論のプロフェッショナルといっても過言ではない職業だ。
そんな彼がこの本では、言い負かされない、丸め込まれない、黙りこまない、モヤモヤしない、相手を納得させるテクニック、つまり議論する方法を解説してくれている。
知れてよかったこと

さすがは議論の百戦錬磨の弁護士さんが書いた本だけあり、「三段論法」や「そもそも式論法」などのテクニックを例文を交えて説明されている。
特に掲載されている例文は、実際に仕事・家族・友人との議論でありそうな場面が使われていて、「なるほど!こう切り返せばいいのか!」と、ストンと腹落ちするものが多かった。
とても読みやすい本だ。
でも私がこの本を読んでよかったと思ったのは、自分がなぜこんなにも議論に対してムキになり、最終的には感情までぶつけて喧嘩腰になってしまうのかという理由が説明されていたことだ。
自分は短気で頭が悪くておかしい人間なのか…とまで悩んだ私にとって、救いの考え方を発見することができた。
誰もが論理的でありたいと願っている
人は皆、自分が論理的でありたいと願っている。だから、自分の論理を徹底的に破壊されると、自分が破壊されたような気がして、自尊心が傷つく。
まさに私、これです!
相手は「私の主張」に対して反論しているのに、なぜだか自分が否定されている気持ちになり、意地でも自分を相手に認めてもらいたくなる。
夫は常に、反論しにくい「ルール」や「常識」を掲げてくるため(本書によればこれは議論の基本テクニック!)、それを覆そうとすると、それが嫌だの、おかしいだの感情論でしか対抗できない。
そして私は撃沈し、自分の言いたいことすらも最後はよくわからず、モヤモヤが続くというわけなのだ。
でもこれは、私がただ感情的な人間だからではなく、人は誰でも論理的でありたいと願っており、普通に起こり得る反応である、問題はそれをどう伝えるか…という著者の言葉にとても救われた。
一貫性の原理
最初に取った行動や表明した意見を最後まで通そうする心の動きを「一貫性の原理」というそうだ。
人はいったん議論を始めてしまうと、「主張」と「自分」とが同化してしまい、主張の誤りを認めることは、まるで人間としての誤りを認めるように感じてしまう。
上述したことと重複するが、議論を通して「自己否定」を感じてしまうことがあるということだ。
そうなると、議論とは本来はよりよい結論に到達するためのものなはずなのに、最後は自尊心を守るためのものになってしまう。
そうそう!そうなのよ!
気がついたら自分を守るために議論をしているのは、私です。
自分を守るためなら、相手を傷つける発言をすることもあり、議論だったものが喧嘩に発展するのも時間の問題。
「あれ?それさっき言ってたことと違うよね。」と言われると、無理やりにでも最初の意見を通そうというセンサーが働いてしまい、主張や言葉の矛盾が生じ、全体にほころびが生まれる。
私も話していくうちに、やっぱりAよりBのほうがいいかも…なんて思うけれど、ヒートアップ後に主張を変えることは相手に謝罪することと同じ意味に感じてしまうため、なかなかそれができずにいる。
まさに私は、心理学通りの行動を取っていたのだ。
議論とは何のためにするのか
議論をするなら、負けないことはたしかに大切だけれど、勝つことを目的とするものではないことは頭に入れておかなければならない。
議論とは本来、よりよい結論に到達するために行う「主張の交換」であり、喧嘩ではないのだ。
人は、自分の知識や経験したことでしか物事を見ることができないので、議論をすることにより、自分の偏見が取り払われ、新しい着眼点を発見することが多々ある。
落ち着いて夫と議論をしてみると、毎度のことながら「なるほどな〜」と目から鱗の考え方が聞ける。
自分とは違う思考・思想を持つ人と一緒にいることの素晴らしさに気づく瞬間だ。
感情的な人間が議論中に意識すべきこと
- 議論の途中で絶えず、そもそもなぜこのような議論をしているのかを自問する
- 相手の反論は「自分への反論」ではなく「自分の主張への反論」ということを忘れない
- 「だからあなたは!」というような、相手の人格を追求する発言はしない
- 普段からキャッチする情報を感情面だけで処理せず、客観的に整理してみる
- 勝とうとしない
そんな私の自戒の念を込めて、ここに感情的な人間が議論中に意識すべきことを記そうと思う。
議論の内容を常に意識する
ひょんなことから喧嘩が始まったけれど、あとあとになって最初のきっかけを忘れた!ということはないだろうか。
当初話していた内容とは大きくかけ離れ、喧嘩するつもりもなかった内容で言い合いになり、「はて?最初はなんで言い合いしていたんだろう」という現象になる。
議論から喧嘩に発展するのもこれに似ている。
つまり、自分たちが今何をテーマに話しているかをしっかり意識すれば、余計なことで喧嘩(議論)することは大幅に減るわけだ。
論点のすり替えもなくなるし、当初話し合いたかったこと、解決したかった方向へ持っていくことができるようになる。
自分批判ではない
感情的になってしまう大きな原因の一つがこれだ。
自分を否定されてると思うと、どうしても自尊心を守りたくなり、ついつい本題とは関係ない方向性へ進ませてしまう。
そして時には、相手を傷つける発言をしてしまう。
あくまで議論は「主張への反論」であり「人格否定」ではないことをしっかり意識しなくてはいけない。
相手の人格否定は絶対にしない
これは私もよくやってしまう悪い癖だ。
「あなたと話すと、いつも自分の話が通じなくてモヤモヤする。もう話もしたくない。」
「そんなに追い詰めて楽しい?」
「鬼の首を取ったような理詰めはきつい。」
議論に勝てなくなった私が、感情論で夫にぶちかます例文。
こんなこと言われたら、当然相手は「はぁ?」となるだろう。
うちの場合はありがたいことに、それでも夫は「そういう傷つく発言はやめたほうがいい。」と冷静に諭してくれますが、これらの言葉は、ただの喧嘩でしかありません。
普段から情報を客観的に整理する
ニュースを見る、読書をする、動画を見る…など、何か情報に触れたら人は必ず感想を抱く。
その感想をただ、「わー楽しかった!」「こんな風に思った!」という、感情面での整理で片付けず、私はなぜこういうジャンルが好きなんだろう、何を楽しいと思ったのだろう、人はどうしてこのニュースに興味を抱くのだろう、なぜこのドラマが流行ったんだろう…と、一歩踏み込んで「客観的」に考える癖をつけてみたほうがいい。
議論の最中に感情的になってしまうのは、そもそも自分の主張に客観性が欠如している可能性も十分にある。
私がまさにそうだ。
特に歴史を語るときなどは、その人物が好き、その制度は日本に必要などといった議論を、つい好き嫌いの範囲で考え、語ってしまう。
「そもそもどうして…」という考え方を身につけることで、相手を納得させられる主張を少しずつ伝えられるようになるのではないだろうか。
常に根本にさかのぼることは、論理的思考力を鍛えるにもとてもよいと、この本の著者も推奨している。
勝とうとしない
もしかしたら議論のベースと矛盾した考えかもしれないが、勝とうとする気持ちは少なくとも夫婦間の議論や喧嘩には持ち込まないほうが懸命だ。
相手は育った環境も違う、いわゆる他人。全てを分かり合えるはずなどはない。
しかしどちらが良くてどちらが悪いなんてことも、よほどのことがない限り意外とない。特に議論の場面では。
大切なのは、議論を勝負と思って話すのではなく、お互いを理解しあうためのものと認識することではないでしょうか。
『「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いなのか』まとめ
最初は夫をいつか言い負かすことができるテクニックを身に付けたいと思い手に取った一冊。
しかし読んで見ると、感情的になってしまう心理的理由など「私はダメ人間なのか?」という悩みを振り払う内容にとても励まされ、読んでよかったと心から思った。
弁護士さんが実際に実践しているテクニックももちろん学ぶことができたが、議論とはなんのためにするのか…という原点を知れたことが大きな収穫だ。
もし私が今後夫との議論で感情センサーが発動しても「お!これはあの本に書いてあった一貫性の原理だ。感情的になるでないぞ!」や「これは私ではなく、主張への反論なのだ!」と一度深呼吸をし、ぐっと気持ちを抑えることができそうな気がする。
喧嘩をするための議論ではない。
相手を理解したい。よりよい結論を導くために話したい。
そうした意識を持ち直すために、この読書記録を今後もたびたび読み直したいと思う!
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